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豊田市子ども条例

ページ番号1007534  更新日 2016年11月18日

豊田市では、子どもの権利を保障し、社会全体で子どもの育ちを支え合うことにより、豊田市の未来を担う子どもたちが幸せに暮らすことのできる地域社会を実現することを目的に、「豊田市子ども条例」(平成19年条例第70号。以下「子ども条例」といいます。)を制定しました。


1 今なぜ豊田市に子ども条例が必要なのか

(1)「子ども」の視点から 子育ち環境を改善する必要性

国連子どもの権利委員会は、日本の学校における過度な競争的体質やいじめを含む暴力の問題を繰り返し指摘しています。豊田市でも、学校では、勉強・成績に関するストレス、不登校、いじめの問題があり、家庭や地域では、子どもの意見を聞かず意見を押し付ける親や大人への不満・反発を子どもたちは感じています。
こうした状況を踏まえれば、子どもが健やかに成長・発達していくうえで妨げとなる問題やストレスを排し、豊田市の子どもたちが今以上に安心して自分らしく生きていくことを支援する必要があります。
このため、豊田市の子どもの置かれている現状を最も把握しその環境整備の第一次的な役割を担う市が子ども条例を制定することにより、子どもの育ちを取り巻く環境の整備を、地域特性を踏まえながら早急かつ総合的に進め、子どもの「生きる権利」と「育つ権利」を十全に保障することが必要であると考えられます。

(2)「親」の視点から 子育てを社会化する必要性

子育ての第一義的責任は「親」や「家庭」にありますが、親が子育てに不安や負担を感じている場合も少なくありません。豊田市においても、「子育てはつらく苦労が多い」と思う大人は半数近く、「子どもを持つと自分のやりたいことが制限される」と思う大人は半数以上います。少子化や核家族化、社会連帯の希薄化などの下、育児に関する知識の不足や親としての心構えの未熟などにより、子育てに過剰な不安感を抱いてしまうことも少なくありません。また、氾濫する育児情報や相次ぐ少年犯罪により、子育て責任が過度に要求・追及される社会状況が強まる中で、親が孤立し、精神的に追い詰められていくことも懸念されます。
このため、様々な子育て環境を整備し、子育てを社会全体で支援していく―「子育ての社会化」を推進する体制を築いていくことが求められています。ここに、子育て家庭に最も近い公共団体である市町村が、法的拘束力のある子ども条例の制定を通じて、こうした体制づくりを積極的に推進していく意義があります。

(3)「市民・地域社会」の視点から 子どもの権利に対する社会的認識を促進する必要性

権利の保障は、社会の構成員である市民が、権利の存在と相互尊重を規範として認識し、それに沿うよう主体的・能動的に行動し、それに反する行動を倫理的・法的な拘束力の下に抑制されることによって、初めて実在するものとなります。特に、未成年であり社会的弱者である子どもの権利は、大人がその重要性を認識し保障に努めることを強く必要としていると言えます。
豊田市では、「子どもの権利条約」について少なくとも名称は知っているという大人は辛うじて半数を超えますが、「内容も知っている」という大人は1割もいません。このため、子どもの権利を始めとして、今の子どもたちやその子どもたちを取り巻く環境をどのようにとらえ、どのような「まなざし」や「関わり」の下に子育ちを支えていくのかという課題を、市民や地域社会が共有していくための手段の一つとしても、子ども条例の果たす役割は重要であると考えられます。

(4)「行政・政策立案」の視点から 法的拘束力を持つことにより子ども施策の計画・実施・検証を総合化する必要性

これまでも、豊田市では、「とよた子どもスマイルプラン」などの計画を策定し子どもたちを取り巻く環境の整備に取り組んできましたが、計画は行政に対し法的拘束力を持つものではありません。また、いじめなど子どもの権利侵害などがあった場合も、それを救済する法的根拠はこれまでありませんでした。さらに、子どもに関する行政は、国の法体系や所管官庁に引きずられて「縦割り的」であることも指摘されています。
子ども条例を制定すると、その規定は豊田市内で法的拘束力を持つことになります。行政が策定する計画や、様々に立案する政策などは、いつもこの子ども条例の規定に照らして妥当性がチェックされ、子ども条例が明示する基本方針の下に総合化・体系化されることになります。すなわち、いずれの政策も「子どもの視点」から検討され、その検討結果が市の取り組む施策・事業の内容に反映されるようになります。

2 どのようにして子ども条例をつくってきたか

子ども条例の制定については、平成17年2月に策定した次世代育成支援行動計画の重点事業に位置付けており、同年10月に市民参加の検討組織を設置し、検討作業に着手しました。また、子どもの意見を条例に反映させることを目的に「子ども委員」を公募し、40人の中高生が子ども条例検討ワークショップ、地域子ども会議、子ども市議会、条例案起草ワーキング等を通して条例づくりに参加しました。さらに、3回のパブリックコメントの実施や住民懇談会の開催などにより、市民意見の聴取にも積極的に取り組みました。これら2年間にわたる検討の結果を踏まえ、豊田市子ども条例案を平成19年9月の市議会に提出し、審議の結果、全会一致で採択されました。

(1)子ども条例検討部会の取組

「とよた子どもスマイルプラン」では、子ども条例の制定過程を重視し、市民と行政の共働によるまちづくりの一環として条例づくりを進めていく考えを示しています。
このため、子ども条例の制定に向けた検討作業は、豊田市における次世代育成支援の推進に関し必要な取組を協議するために設置された「豊田市次世代育成支援推進協議会」が担任することとなり、推進協議会は、市が予定する2007(平成19)年度の条例制定に向けて、効率的かつ専門的に検討作業を進めるため、推進協議会の委員10人による「子ども条例検討部会」を2005年(平成17年)10月に設置しました。
子ども条例検討部会は、学習会やグループワークの実施、レポートの作成、中間報告の取りまとめ、条例案の起草と検討などに精力的に取り組むとともに、「子ども委員」が参加する「子ども条例検討ワークショップ」を開催して子どもたちの貴重な意見も聴いてきました。
2006年(平成18年)12月から翌年1月にかけて集中的に行われた条例案の起草にあたっては、検討部会員から4名を選抜して「条例案起草ワーキンググループ」を組織し、集中的な討議と作業を行いました。

(2)子ども委員の取組

1 「子ども委員」の公募

子ども条例検討部会を設置した当初は(検討部会事務局による子ども条例の検討スケジュール案では)、検討部会が主体となって、子ども条例に盛り込むべき内容などについて検討・整理する予定であり、条例案の検討における子どもたちの参画については、検討部会において適当な時期に適当な年齢層の子どもたちにヒアリングを実施する考えでした。しかし、子どもが感じていることと、大人が子どもはこう感じているだろうと思っていることには、多くの「ずれ」があるため、大人の判断だけで条例づくりを進めるのではなく、子どもたち自身の意見も尊重し、ぜひ子どもたちと一緒に条例づくりを進めていきたいという検討部会の強い希望により、「子ども委員」を公募することにしました。
子ども委員の公募は中学生・高校生を対象に2005年(平成17年)11月に行い、子どもの権利や条例づくりに関心を持ち、豊田市の将来について真剣に考えている意欲的な子どもたちが24人集まりました(その後、2006年度(平成18年度)当初に追加募集を行い、最終的に40人となりました。)。これにより、条例の主たる対象となる子どもたちが直接条例づくりに参加できる機会が確保され、子どもたちの多くの意見や思いが条例に反映できるようになりました。

2 「子ども条例検討ワークショップ」の開催

子ども委員が検討部会に参加して大人委員と同じテーブルで議論することは容易でないと考えられたため、子ども委員は、検討部会と共同で「子ども条例検討ワークショップ」を開催し、そこで子ども自身が子ども条例に盛り込みたい内容を検討・整理することになりました。
「子ども条例検討ワークショップ」は、子ども委員が普段から感じている思いや、子どもの条例に盛り込みたい内容、「地域子ども会議」及び「とよた子ども市議会」における質問事項や運営方法などを議論しました。また、ワークショップには、地域子ども会議及びとよた子ども市議会を開催・運営する子ども委員を側面的に支援するため、34人の市職員も「子ども委員応援サポーター」として参加しました。

3 「地域子ども会議」の開催

子ども委員は、さらに多くの子どもたちの意見や思いを集めて子ども条例に反映するため、2006年(平成18年)の夏休み期間、市内26の中学校区ごとに「地域子ども会議」を開催しました。13のチームに分かれた子ども委員は、子ども委員応援サポーターの協力も得ながら、各チーム2回ずつ、合計26回の地域子ども会議を自ら運営しました。会議には、470人もの地域の子どもたちが参加しました。
地域子ども会議では、26回の会議で合計5,000件を超える意見が出されました。これらに、子ども条例検討ワークショップにおいて子ども委員から出された意見を合わせた約6,000件もの意見は、子ども条例検討ワークショップ事務局によって6分野の97項目に集約され、第4回子ども条例検討ワークショップにおいて示されました。ワークショップでは、子ども委員がこれら97項目に対して第1次支持投票を行い、絞り込まれた11項目について議論を行った後、第2次支持投票を行って最終順位を付けました。

第4回子ども条例検討ワークショップにおける意見集約

第2次支持投票結果 最終順位
順位 意見項目 得票
1 他人に構わずタバコを吸う大人が多い。喫煙マナーをわきまえてほしい 31
2 3学期制に戻してほしい 23
3 生徒の言い分も聞かずに怒ったり、理由を示さずにルールを強制したり、
生徒からの批判に耳を貸さず自分の非を認めなかったりする
21
4 子どもを甘やかせ過ぎず、きちんと叱ってほしい 13
5 子どもが遊んだり活動に使ったりできる公共施設がもっと多くて利用しやすいまちにしたい 8
6 自分のことに責任を持ち、社会のルールを守る大人(になりたい) 5
6 (親は)子どもの気持ちや意見にもっと耳を傾けて、過度な期待をかけたり、
間違っていると決めつけたりしないでほしい
5
8 教え方が下手な先生、授業がつまらない先生がいる 4
9 ルールを守らない大人、マナーの悪い大人がいる。
ちゃんと守って子どもの手本になってほしい
3
10 親が命令ばかりする、子どもに謝らない、言い訳をする 2
11 「子どもだから…」「子どものくせに…」「今時の子どもは…」などと決めつけてきたり、
「むかし自分は○○だった」と言って昔と今の子どもを比べたり、
大人の考えを押しつけようとしたりする大人がイヤ
0

4 「とよた子ども市議会」の開催

子ども条例検討ワークショップ及び地域子ども会議の開催を通じて集約された意見を基に、子ども委員自らが、子ども条例や子どもたちを取り巻く環境などについて、市長に意見を述べたり具体的な提案・要望を行ったりする機会として、2006年(平成18年)10月7日に「とよた子ども市議会」が開催されました。
子ども市議会では、子ども委員が26項目の質問を行い、これに対して市長、教育長及び各部局の部長などから答弁がありました。

5 「子ども委員起草ワーキンググループ」の開催

子ども委員は、前述した子ども条例検討部会の「条例案起草ワーキンググループ」と並行して「子ども委員起草ワーキングループ」を組織し、平成18年12月16日と同月26日、平成19年1月6日に計3回の会議を開催して、子ども委員のみによる条例案の検討や、条例案起草ワーキンググループとの意見交換を行いました。

(3)子ども条例提案までの主な取組

平成16年度

平成17年度

平成18年度

平成19年度

条例制定後の予定

は、条例の制定及び制定後における主な市民参画の状況である。

3 子ども条例の特色

(1)主体の責務

子ども条例では、子どもの権利を保障し、社会全体で子どもの育ちを支え合う仕組みを定めることにより、子どもが幸せに暮らせることのできるまちを実現することを目的としており、子どもの育ちを支える各主体の責務を次のとおり規定しました。

1 保護者の責務

子育てについての第一義的責任を持ち、子どもの年齢や発達にふさわしい環境の下で子どもを育てること。

2 市の責務

保護者が子育てについての第一義的責任を遂行するために必要な支援をすること。また、国や他の公共団体などと協力して、市の内外において子どもの権利が保障されるよう努めること。

3 市、保護者、育ち学ぶ施設、市民、事業者の責務

子どもにとって最もよいことは何かを第一に考えて、子どもの権利を保障し、お互いに協力して子どもの育ちを支え合うこと。

(2)子どもの権利と責任

子どもの権利と義務(責務)については、多くの市民意見が寄せられ、検討過程でも慎重に議論を進めてきたところですが、条例では、権利に係る子どもの責任として、自分の権利を大切にするよう努めること。また、自分の権利が尊重されるのと同様に、他者の権利を尊重するよう努めることを規定しました。

(3)子どもの育ちを支える各種の取組

子ども条例では、子どもの権利を保障し、子どもにやさしいまちづくりを進めることを宣言しています。このため、子どもの権利の周知と学習支援、子どもの居場所づくりの推進、意見表明や参加の促進等の必要な施策について規定するとともに、子どもが権利の侵害を受けたときの救済機関として「子どもの権利擁護委員」を置くこととしました。さらに、子どもにやさしいまちづくりを総合的かつ計画的に進めていくため、「子ども総合計画」の策定、「子どもにやさしいまちづくり推進会議」及び「子ども会議」の設置についても規定し、平成20年度中には、条例に規定したすべての事項が本格的に動き出し、実行に移されることになります。


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